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トレンド

2017.07.28 20:35|ロイアイ
トレンドに入っていたタイトルを見て、ふと思い付いたのですが。
小さな隙間時間を狙ってちょこちょこと書きためていたら、何ていうワードだったか忘れてしまった…。
何か雨の日はどうとかいうワードだった気がします。
超小ネタ、推敲ほぼ無しですが、宜しければ追記からどうぞ。


こんなところで何なのですが、時期を逸しすぎたら今更感が出てしまうので、私信。
牛乳ラングドシャめっちゃ美味しいです!
ミルクの濃い感じがたまらない。
毎日少しずつ食べて楽しんでます。
本当に有り難うございました。
きっと見てくださると信じて…。
しかし水のいいところは何故何もかも美味しいのか。しみじみとうまー。
※追記ここから





推敲してません。
というか、ただの思いつきメモです。





 窓の外はどんよりと暗く、薄黒い雲に一面が覆われている。
 先刻からしとしとと湿った音も聞こえ始めた。
「降ってきたな」
 窓から外を見ながらロイが誰ともなく呟くと、すぐに近くから声が返ってきた。
「そうですか」
 後ろにまとめた金髪を僅かに揺らして、リザも同じ窓から外を見る。
「朝から降るかなあとは思ってたんですけどね」
「とうとう降ってきましたか」
 リザに続いて窓を見やるフュリーの後ろから、ファルマンも移動していた足を止めて会話に入る。
「やべ、俺傘持ってきてねぇわ」
「しょうがねぇな、おまえは」
 顔を顰めるハボックに、ブレダが俺の置き傘貸してやるよ、と声を掛ける。
「雨だと中佐は大変ですね」
「うるさい」
 からかうような口調で話しかけてくるハボックの目は少し笑っているように見える。それが面白くなくて、ロイはギロリとハボックを睨んだ。
 ロイの戦闘能力の大部分を占めるのは、手にはめて使う発火布だ。錬成陣が既に入っているため、構築式が頭に入っているロイなら、はめるだけで発火能力を使うことが出来る。強力な武器であり、使えれば生身で敵う相手はそういない。ロイよりレベルの高い国家錬金術師を除いては。
 だがそれはあくまでも「使えれば」の話だ。
「どうせ無能だとか言いたいんだろう」
「そんなこと一言も言ってないじゃないスか」
 ニヤニヤと笑うハボックの顔を見れば、言ってなくとも言われているのと同じことだと、ロイは不機嫌になる顔を隠しもしない。横で苦笑していたフュリーが、まあまあと仲裁に入る。
「でもこれだけ降ってくれば、やっぱり少尉はいつも通り同行されるのですか?」
 雨を確認した後、表情を動かしもせず仕事を続けていたリザに、ファルマンが疑問を投げかける。
「ええ、そのつもりよ」
 リザは書類から目を離さないまま答えた。まるでそれが当然だとでも言うように。
 ロイの発火布は、濡れれば役に立たない。それはもしロイが道中襲われれば、万が一のことも有り得るということを示している。
 無論、ロイとて軍人の端くれだ。一通りの体術も習っているし、銃だって携帯している。そんじょそこらの暴漢に襲われたとしても、発火布無しで撃退することは十分可能だろう。
 だが相手がそんじょそこらの暴漢でなかったときが問題だ。
 ロイは既に中佐にまで上りつめている。さらに国家錬金術師として名を馳せているとなれば、狙ってくる相手のレベルも、襲われる可能性も、ただの下っ端軍人とは格段に違ってくる。
 リザはその万が一のことを心配して、雨が酷い日はいつもロイの道中に同行すると決めていた。
「たまには俺が同行しましょうか?」
 ハボックがリザの方を向いて気遣いを見せる。他の面々はどちらかといえば頭脳派で護衛には向かない。気心の知れたメンバーの中で戦闘派といえばリザかハボックくらいだ。だからたまにはと考えたのだろう。
 しかしリザはふるりと首を横に振った。
「いいえ、大丈夫。別に今日は仕事の後に何か予定があるわけでもないし」
 気持ちだけ受け取っておくわ、とリザは書類から顔を上げてハボックに少し微笑んだ。礼のつもりなのだろう。それを見たハボックは、「そっスか」とそれ以上何か言うこともなかった。


 やがて仕事を終えた面々が、次々と席を立つ。
「お疲れさまでした」
「あー、終わったー」
 伸びをするハボックの横で、ブレダが席を立ちながらロイの方を見る。
「中佐はまだ帰らないんですか?」
「いいや、私もこの書類を片付けたら帰るよ」
 厳しい審査に通ったらの話だが、と苦笑しながら、ロイがチラリとリザの方を見やる。リザは真面目に書いてくだされば問題なく通しますよと一瞥を返した。
「それでは、お先に失礼します」
 軽く一礼して、ファルマンが部屋を出て行く。
「お二人もお気をつけて」
 少し申し訳無さそうな顔で、フュリーが挨拶をして出て行くと、ブレダとハボックもそれに続いて簡単な挨拶と共に部屋を出て行った。


「……はい。問題ありません」
 トントンと机で書類を揃えて、リザがロイへと書類を返却する。
「よし、帰るか」
 嬉しそうに帰り支度を始めるロイに、リザもはいと頷いた。

 雨の降る夜道を二人で歩く。ロイは前、リザは半歩後ろ。毎回変わらぬ距離だ。
 勢いを弱めず降り続く雨をじっと眺めていたリザは、おもむろに口を開いた。
「……中佐」
「ん?」
 振り向かずに、ロイが声だけで返事をする。
「中佐はやはり、雨はお嫌いですか?」
 突然の質問に、ロイはくすりと笑みを漏らした。
「無能になるから?」
「そこまで言ってません」
 僅かに眉根を寄せるリザにハハ、と今度は声に出して笑ったロイは、微笑みを浮かべたまま答えた。
「別に嫌いではないよ」
 毎回からかわれるのはあまり面白くはないがね、と軽い口調で続けるロイに、リザは少し意外そうな表情を浮かべる。
「そうなんですか」
「ああ。だってそうだろう? 雨には雨の良さがある。煩わしいと感じるときもあるが、風情を感じるときもある。暑いときは暑さを和らげてくれるし、乾燥しているときは湿り気を与えてくれる。捉え方次第だと思うね」
(……それに、雨ならこういう時間が貰える)
 ロイは後ろを歩くリザを少し振り返る。
 普段偶然帰る時間が重なり、途中まで同行するときもあるが、基本はバラバラに家路に着く。
 しかし雨の日となると話は別だ。
 雨が降ると、必ずリザが護衛として同行してくれる。大義名分がある以上、誰に見られても変な誤解は生まない。しかも家が見える距離まで同行するとリザが頑として譲らないため、偶然一緒に帰るときよりも長い距離を共に歩ける。
 会話せずにただ歩く日もある。会話をしていると途中からお説教に変わっている日もある。
 それでもどんな日も、楽しいと思わなかった日はない。
 護衛という名目はあるものの、そこには必ず穏やかな空気が流れている。リザの口調は堅苦しいが、時々覗かせる一面が昔を思い起こさせる。まだ互いに何も背負っていなかったあの頃を。
 懐かしく、少し切ない。しかし決して苦しくはない。上司と部下という関係を一瞬だけでも忘れさせてくれる貴重な時間だ。
 何より堂々と一緒に歩けて楽しくないわけがない。
(けれどそんなことを言えるわけがないからな)
 ひっそりと笑みを浮かべて、ロイは心の中で独りごちる。そんなロイの気持ちを知らないリザは、ロイの言葉を聞いてそれもそうですねと頷いていた。

 それから程なくしてロイの住む部屋が見え、挨拶を交わしてリザがその場で立ち止まる。
 去りゆくロイの背中をじっと見つめていたリザは、その背中がアパートに入ると、くるりと踵を返した。
 リザの住むアパートまでは、さほど遠くない。五分も歩けば着くだろう。
 傘に打ち付ける雨音を聞きながら、リザは先程去っていった背中を思い浮かべる。
(……嫌いじゃなかったのね)
 女に護衛されるということに屈辱を感じるのは今更だ。元々リザはロイの護衛という役目も背負って補佐官になっている。
 けれど毎回雨の度に付いて来られては、迷惑ではないだろうかという遠慮も少しあった。
 ハボックが声を掛けてくれたとき、たまには別の人間に頼んだ方がいいのだろうかという考えも少し浮かんだのだ。
 けれど、どうしても譲る気になれなかった。
(私も、嫌いじゃないんだわ)
 雨が、ではない。
 二人で歩く時間。流れる穏やかな空気。
 それが少し……いや、それなりに楽しみだと言えば、軽蔑されてしまうだろうか。
 護衛のために傍にいるだけなのに。その目的を差し置いて、楽しみだなどと。
(不謹慎だわ)
 だから言わない。心に秘めて、絶対に表に出さない。
 だがこの温かい感覚を抱いて部屋に帰ることくらいは、赦されるだろうか。

 数メートル先に現れた自分の住むアパートを見上げて、リザはそのまま中へ入っていく。
 降り続く雨はしとしとと地面を濡らし、雲に覆われた空は月明かり一つない暗闇に二人の想いを隠して雨と共に流していった。





…一週間以上かかりました(笑)。
少しずつ書いてると、オチとか全体の流れとかうっかり忘れそうになるので苦労した…。
最初は雨の日にはちょっと優しくなるリザさんに喜ぶロイを書きたかっただけなんですが、どうしてこうなった(笑)。
まあでもちゃんと形には出来たので、後日見直して変なところがなければ、一つの更新としてサイトに載せられればいいなと思います。
しかし起伏も何も無い話だから、更新としては弱いかなぁ。どうだろう。自信はない。(それはいつもか)

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