ワンライ七回目

久しぶりのワンライ挑戦です!
今回完成が3分だけ遅れてしまったのですが、開始が10分以上遅れていたので、誤差の範囲内と判断させて頂きました。

使用したお題:お菓子をくれなきゃ(トリックオアトリートに変換) ハロウィン
ジャンル:鋼錬 #ロイアイ
※注意:二次創作NL。甘め。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負

ハロウィンネタは以前も書きましたが、今回はなるべくそちらと被らないように書いてみました。
でも前回の方、確か未完でしたよね…。
うーむ。そっちと合わせると、ちょっと設定(時系列)がおかしくなるかな…。
まあそっちとは別の話として考えて頂ければ幸いです。


ロイアイではないですが、ここ数日ナルヒナ情報が怒涛のように押し寄せていて、落ち着かないったらありません(笑)。
時間があればナルヒナについても語ってみたいのですが。
とにもかくにも、本誌の方の最終回を心して待ちたいと思っています。
誰かとナルヒナ語りたい。切実に。
実はずっとずっと好きなカプだったのです。
映画気になりすぎる。






 仕事を終えて部屋に帰ったリザ・ホークアイは、ごそごそと何かの準備を始めた。
 小さな包みを机に並べ、一つ、二つと数を数える。多い分には構わないが、足りなかったら大変なことになる。
 そこに、玄関のドアからノックの音がした。
「トリック・オア・トリート!」
「……私に言ってどうするんですか」
 ドアを開けた途端手を差し出して叫んだ客人に、リザは渋い顔を見せる。
「まあそう冷たいことを言わなくてもいいじゃないか。今晩はお祭りなんだから」
「それはそうですけど」
 同じく仕事を終えてこちらに来た客人……ロイ・マスタングを玄関先に招き入れ、リザは先程並べた包みの元へと戻る。
「それかね?」
「はい。これを袋に入れたら、もう出られますので」
「手伝おうか?」
「いえ。大丈夫です。すぐ済ませますから」
 手際良く袋に先程の包みを全て入れたリザは、それを持って玄関先で待つロイの元へやってきた。
「じゃあ行こうか」
 ひょいとリザの手から袋を取り上げ、ロイはドアを開ける。
「私が持ちます」
「荷物を持つのは男性の役目さ」
 玄関のドアに鍵を掛け、リザは先を歩くロイのすぐ後ろに付いて柳眉を寄せる。
「またそういうことを……」
「それに、ここまで準備をしたのは君だろう? 運ぶくらいさせてくれたまえよ」
 そう言われると何も言えない。リザは寄せていた眉を元に戻して、口を閉じた。

 ハロウィンの夜、孤児院の子供たちにお菓子をあげたい。
 そんな提案をしたのは、リザの方からだった。
 軍が関与した過激事件の犠牲となった孤児たちが集まるその孤児院に、軍は定期的に様子を見に行かせている。
 ロイとリザがその役目を任ぜられた時は、ちょうどハロウィンの時期だった。
 トリック・オア・トリート! と叫びながら遊んでいる子供たちが互いに差し出しあっていたのは、紙で作ったおもちゃのお菓子。
 ハロウィンの夜は無礼講だ。外に出て近所を回っても、皆分け隔てなくお菓子をくれるだろうに。
 何故外に本物のお菓子を貰いに行かないのかとロイが訊ねると、子供たちは答えた。
 施しを受けるみたいで抵抗があるのだと。
 孤児たちには孤児たちのプライドがある。
 たとえハロウィンの夜だとしても、普段国から施しを受けている身で、更にイベントに便乗して近所の家々に物をせがみに行くなど出来ないと、子供たちは子供たちなりに遠慮をしていたのだ。
 役目を終えた帰り道、リザはぽつりと言った。
「私たちで何か出来ないでしょうか」
 リザは知っている。
 お菓子をくれる大人がいない寂しさ。楽しいイベントを思いきり楽しめない切なさ。そんな境遇へのやるせなさ。
「私には、貴方がいてくれました。貴方が来てくれて以来、ハロウィンの夜も憂鬱じゃなくなった。誰か一人でもそういう人がいてくれたなら、変えることが出来ると思うんです」
 誰よりもリザの境遇を、そして気持ちを理解しているロイは、その提案に反対することが出来なかった。いくつか懸念事項はあったが、それは怒った時に考えればいい。それよりも今は、リザの気持ちを優先してやりたかった。
「協力するよ」
 そうして二人は、今年のハロウィンの夜、子供たちの数だけお菓子を用意することとなったのだった。


「喜んでくれて良かったですね」
「ああ。疲れたがね」
 苦笑するロイに、リザも苦笑しながらお疲れ様でした、と返す。
 立場上顔を隠さねばならなかった二人は、孤児院にいる間、ずっと被り物をしていた。
 特にお菓子の入った袋を持ったロイの元には、大はしゃぎの子供たちが次々と飛びつき、それはもう上へ下への大騒ぎだった。疲れるのも当然だろう。
「君も、疲れただろう。これだけのお菓子を用意して」
 包みに入っていたお菓子は、リザの手作りだ。忙しい仕事の合間を縫ってこれだけのお菓子を用意するのは、きっと大変だったろう。
「いいえ」
 しかしリザはそんな大変さを少しも愚痴ることなく、首を横に振った。その顔には満足そうな笑みが浮かんでいる。
「一応大総統も問題ないと言っていたし、来年も出来ればいいな」
「そうですね。是非」
 そんな会話を交わしながら、二人はリザの家へと夜道を並んで歩いていった。

「それでは、ありがとうございました。准将」
 玄関の前に立ったリザは、そう言って頭を軽く下げると、ドアを開けて中に入る。
 閉め掛けたドアを慌てて掴んで、ロイはリザに訴えた。
「待て待て、まだ終わっていないだろう」
「はい?」
「私へのお菓子がまだじゃないか」
 ロイの言葉に、リザは怪訝そうにまた柳眉を寄せた。
「お菓子を貰うのは子供の特権のはずですが」
「男はいつまでも子供なんだよ」
「都合のいいところだけ子供にならないでください」
 ふいと冷たくそっぽを向いて、リザは部屋の奥へと入る。
 その背中を追いかけて、ロイはリザの手を掴んだ。
「いいじゃないか、お祭りなんだから」
「何がいいんです。だいたい、お菓子はもう全て配ってしまいましたよ」
「お菓子と言えば甘いもの。甘いものなら他にもあるだろう?」
「……この家に甘いものなんて、砂糖くらいしかありませんが」
 相変わらず冷たい視線を向けるリザの顎に手を添えて、ロイは背後からすかさずリザの唇に自らの唇を重ねる。
「……あっただろう? 甘いもの」
 悪戯っ子のように笑うロイに、リザは眉を吊り上げた。
「子供はそんなキスしません」
「いやあ、そこは大人だから」
「都合のいい時だけ大人にならないでください!」
 怒りの声を上げながらも、リザの頬はうっすらと紅色が差している。
 そんなリザの顔を楽しそうに見つめながら、ロイはリザの小言を締まりのない笑顔で受け止めていた。



23:33終了。
3分遅刻しました。すみません。

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氷上和奇

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