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ワンライ四回目
2014/09/26(Fri)
ワンライにまた挑戦です!
金曜日だと挑戦しやすくて有り難い。
故人ネタが出てくるので、多少暗いです。

ワンライとは:企画者様のサイトをご参照ください。

使用したお題:探す 星に手をかざす (探すは入れたつもりですが微妙です。すみません)
ジャンル:鋼錬 #ロイアイ。
※注意事項:二次創作NL。全体的に暗め。
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負

推敲は出来ていません。
それでも宜しければ追記からどうぞ。
(後から多少修正を加えることはあり得ます)

※ワンライネタ。一発書きです。





 錬金術を学ぶためにホークアイ家を訪れていたロイは、実験が予定よりもかなり長引いたため、その日家に泊めてもらうこととなった。
 日もとっぷりと暮れ、夕飯をご馳走になったロイは、夢中で師匠の持っている本を読み漁っていた。
 師匠であるホークアイの書斎には、さすがと言うべきか、ロイが見たこともないような本が沢山あった。全てを一度に借りるわけにもいかないため、いつも少しずつ借りてはいたのだが、それでもまだまだ知らない本が残っている。それを今日は、好きなだけ読むことが出来るのだ。とても寝てなどいられない。
 部屋の机にどっさりと積んだ本をロイが時間も忘れて読み耽っていた時だ。
 微かに、扉の開く音がした。
「誰か来た……わけないよな」
 部屋に時計はないが、真っ暗になった空と物音のしない外を窓から見るだけで、今が夜更けであることが判る。こんな時間に誰かが訪ねてくるはずがない。
 そもそもロイが学びに来ている間、この家に人が訪れたことは殆どない。誰も訪ねてこない、孤立した家。そんな印象しか持てないこの家に、誰かが訪ねてくるなんてロイにはとても考えられなかった。
 となると、この家の中にいる誰か……つまり師匠のホークアイか、娘のリザが外に出たことになる。

 気になったロイは、部屋を出て玄関へと向かった。
 音がしないように慎重に、そうっと扉を開ける。それでも古くなった扉はキイ、と微かに軋んだ。
「……マスタングさん?」
 小さな声のする下の方へと視線を移すと、玄関へ上がるための階段に腰掛けたリザがこちらを見上げていた。
「リザ。君だったのか」
 開けた扉をまたそうっと閉め、ロイはリザに小声で話しかける。
「何してるんだい?」
「何、ということもないんですが……」
 リザは少し言いよどむと、真っ暗になった空の方を見上げる。
「星を見ていたんです」
「星?」
「はい」
 同じようにロイも上を見ると、そこには一面の星空が広がっていた。部屋の中にいた時はここまで星が瞬いているとは気付かなかったが、なかなかの景色だ。
「星が好きなの?」
 隣に座ると、リザは場所を開けるように少し横へと身体をずらした。
「そういうわけではないんですが」
 星を見上げたまま、リザは言葉を続ける。
「……人は、死んだら星になるって聞いたことがあるんです」
 それはロイ自身、幼い頃聞いたことのある話だった。人は死ねば星になる。そんな根拠もないおとぎ話。けれどたとえそれがおとぎ話でも、信じたいと強く思った時があった。
「もしそれが本当なら、こうして手を伸ばして、届けばいいのにって思うんです」
 リザは満天の星空へ右手を高く掲げる。
「届いて、この手につかむことが出来たならって……そうすれば、戻ってくるんじゃないかしらって」
 そんなわけないですよね、とリザは掲げていた右手を下ろして気まずそうに微笑んだ。
 戻ってこないことなんて、嫌というほど知っている。
 死んだ人は、二度と生き返らない。二度と会えない。そんなこと、痛いほど知っている。
 それでも願わずにはいられないのだ。
 あの星が愛する人ならば、まだそこにいるってことになるんじゃないか。
 毎晩自分のことを見守ってくれているんじゃないか。
 そうなら、どんなにかいいだろう。そうだったならいいのに。
「戻ってくるはずないって、知っています。でも、何だか星空を見るだけでおちつくんです。だからこうして、星のキレイな夜は、時々空をながめているんです」
 愛する母親を追い求めるリザの姿に、ロイはかつて両親を喪った時の自分を垣間見て視線を落とした。
 二度と会えない大切な人。
 会えないと解っているのに、それでも恋しくなる時が、どうしても会いたくなる時がある。
 そんな気持ちは、痛いほど知っているから。
「解るよ」
 一言そう告げると、ロイは先程のリザと同じように空へ手を伸ばした。
「……解るよ」
 同じ言葉を、もう一度繰り返す。
 そんなロイにリザは少し目を見開いたが、やがて嬉しそうに微笑んで、満天の星空へ再び手を伸ばした。
「届かないな」
「そうですね」
「でも見えるかな」
「見えるといいですね」
 誰もいない外に響かないよう、声をひそめて二人で他愛もない会話を交わす。
 どこまでも広がる星たちは、キラキラと美しい輝きを放って、空を眺める二人の顔を照らしていた。


* * *


 花束を手に、ロイは日も落ちた墓場を無言で歩く。
 数歩後ろには、リザの姿もあった。
 どれだけ仕事が忙しくても、どれだけ夜が更けようとも、ロイは毎月この日の墓参りを欠かしたことがない。

 マース・ヒューズと書かれた墓の前で止まったロイは、そこに花束を供え、手を合わせる。リザも後ろから同じように手を合わせた。
 しばらく手を合わせた後、ロイは顔を上げて空に広がる星を見つめた。
 かつてこの星のどれか一つが、失った大切な人なのではないかと思ったことがある。
 今でこそこれはエネルギーを発しているただの物体であると知っているが、それでもそこにまだいるのだと信じたい時があった。
 そう信じて空を見上げれば、喪った哀しみが少しでも癒える気がしたのだ。

 おもむろに手を動かして、ロイはその手を空へと伸ばす。
「大佐?」
「ああ、いや」
 後ろから話しかけられたロイは、星を眺めながらリザに答えた。
「昔、こうしたこともあったなあ、とね」
 ただのおとぎ話だ。真実は違うと知っている。それでも。
「……いらっしゃいましたか?」
 静かな響きを持って放たれたリザの言葉に、ロイは手を下ろして振り返った。
「見つかりましたか? 中佐は」
 リザは穏やかな顔で、そして全くふざけた様子もなく尋ねる。
 そんなリザを見つめた後、ロイはくすりと笑みを漏らした。
「ああ」
 真っ暗な夜空に広がる星たちへと、ロイは再び顔を上げる。
「いるかもしれんな」
 いるはずないと知っていても。
 ただの物体だと解っていても。
 時々なら、おとぎ話を信じてもいいだろう。

 しばらく二人で星空を眺めた後、ロイとリザは墓場を後にした。
 どこまでも広がる星たちは、あの頃と変わらぬ美しい輝きを放って、歩く二人を照らしていた。



終わり。
23:30ギリギリ!
本当は「おめでとうは言わない」も使って、二つ目のネタとして
大将に昇進したロイにおめでとうございますと言いかけるリザ→「待て」と遮るロイ→「おめでとうの言葉は次に昇進した時に聞かせてもらおうか」
的な話も書きたかったんですが。
時間切れでした。むぎゅう。
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