バレンタインデーSSの続き

やっと続きを書いたので、載せておきます。
遅くなって本当にすみませんでした。
今更かもしれませんが、読んでくださる方は追記からどうぞ。


先週末は健康診断、なばなの里、と色々ありました。
日記に書き留めておきたかったのですが、ちょっと今は時間がないので、また後日書けそうなら。
全然ロイアイに関係ない日常ネタなので、つまらないかもしれませんが。



拍手くださった方、有り難うございました!



16日の日記の続きです。
※推敲していません。


「准将。どうなさったのですか、こんなところで」
 努めて冷静な振りをして尋ねるが、内心気が気ではない。
 まさかとは思うが、わざわざ自分の部屋に催促しに来たのではないだろうか。そんな考えが頭をよぎる。
 だとしたらどうしよう。正直に話すべきだろうか。それとも誤魔化すべきだろうか。まだ結論を出してはいないのに。
 しかし動揺するリザの様子に気付いているのかいないのか、ロイはいつものように、しかしあくまでも上司の口調で答えた。
「明日の会議のことで話があってね。外で待つのも寒いし、部屋に戻って行き違いになっても面倒だから、ここで待たせてもらったよ。今、いいかね?」
「はい。問題ありません」
 ロイに気取られないように、リザはホッと胸を撫で下ろす。どうやら杞憂だったようだ。
 そうだ。ここには会議のために来ているのだ。旅行に来ているわけでも、バカンスに来ているわけでもない。上司と部下として、自分達はここにいる。今日の勤務時間は終了したけれど、出張中であることに変わりはない。常に仕事のことを考え、何かあれば即座に対応する。そのくらいの心構えでいなくてはならないのに、なんて緩んだことを考えていたのだろう。
 先ほどまで悩んでいた自分が恥ずかしく思えて、リザは自らの気を引き締めるように唇を引き結んだ。
「そういうことなら、多少資料が必要になるな」
「それでしたら揃えてあります。足りない分は仰っていただければ、こちらでも探してみます」
「見せてくれ」
「はい」
 静かな部屋の中で、真面目な声だけが響く。もうリザの頭の中には、バレンタインデーのことなどすっかり抜け落ちていた。
「よし。これで進めてみよう。予定通り明日には会議を終わらせて、とっとと帰りたいものだな」
「そうですね。通常業務も山のように積まれているでしょうし」
「……思い出させなくてもいいだろう。想像するだけで気が重い」
 苦い表情をリザに向けながら、ロイがドアの方へと向かう。それを見送ろうと、リザもその後に続いた。
 と、ドアの前で急に足を止めたロイは、部屋の方を振り返って、じっとリザの方を見る。
「どうなさったのですか?」
「いや……」
 リザを正視したまま、ロイは動こうとしない。何か言いたいことを思い出そうとでもしているのかと、リザはロイの前に立った状態で自分も動かず、次の言葉を待った。
 数十秒の沈黙が流れた後、静止していた眼をふっと緩めて、ロイが軽く息を吐く。
 微かに浮かんだ笑顔にリザが小首を傾げようとした時だった。
「……っ!」
 あっという間に視界が遮られ、顎に触れられたかと思うと、柔らかい感触が唇を包む。あまりに突然の、それでいて予想外の出来事に、反論どころか反応する暇さえ与えられず、リザはただそれを受け入れることしか出来なかった。
 呆気に取られる唇の隙間から、湿った舌が侵入する。互いの唇に出来た空間から、白い息と声にならない声が漏れた。
「……は……」
 深く繋がり、絡め取られる。慣れた巧みな動きに、ここがどこなのかを忘れそうになったリザは、ハッと我に返ると、眼前に覆い被さっている自分より一回り大きい身体を押し返した。
「な……にを、するんです、貴方は!」
 荒くなりかけた呼吸を整えて、少し距離が離れた顔をキッと睨む。にこにこと悪びれもせず笑っているその顔には、先ほどまでの真面目な表情はどこにも見当たらない。完全に、恋人としてのロイ・マスタングの顔だった。
「今日はバレンタインデーだろう? だから、貰って行こうと思って」
「なっ」
「ごちそうさま。それじゃ、また明日」
 わなわなと震えているリザをそのままに、ロイはあっさりと部屋から出て行ってしまう。パタンと閉じられた扉の前で拳を握りしめていたリザは、やがてどっと力が抜けたように肩を落とした。
「……貰って、って……」
 貰って行くって、どういうことだ。ごちそうさまって何だ。人の気も知らないで。だいたい、今日がバレンタインデーだと知っていたのなら、ストレートにチョコレートが欲しいと言えばいいではないか。それなのにこんな回りくどいことをするなんて。わざわざ部屋で待っていて、まさか最初からそのつもりだったのか。てっきり仕事の話をしに来たのだと思っていたのに。いや、主な目的はそれだったのだろうが、いったいいつからあんなことをしようと目論んでいたのか。
「馬鹿みたい」
 悩んだのに。どうしようかと、どうやって伝えようかと、あれほど悩んだのに。こんなにもあっさりと、しかもあんなにも嬉しそうに去って行って、そちらはそれで気が済んだかもしれないけれど、こちらの気持ちはどうなるのだ。
 やり場のない憤りと気の抜けたような脱力感を抱えて、リザはゆっくりとベッドに近付き、そこにぼすんと身を横たえた。
 少し冷静になった頭で、先ほどの沈黙を思い出す。
 もしかして、待っていたのだろうか。もし自分が用意していれば、それを貰おうとしていたのだろうか。
 あの時、もしストレートにチョコレートを催促されていたならば、自分はどんな態度を取っただろう。
(これで良かった……のかしら、ね)
 不意打ちは気に入らないけれど、渡そうにも物はない。そして決して渡したくなかったわけでもない。
 結果的に彼が喜んだのならば、それで良かったのだと不意打ちの件は赦すべきかもしれない。
 ああ、それでもやっぱり、悩んだ分、少しは憎たらしいけれど。
 やっと今日済ませなくてはならない全ての仕事が終わったような気持ちで、リザはそっと目を閉じた。
 心地よい眠気が全身に満ちてゆく。シャワーを浴びなくてはならないけれど、少しだけ。ほんの少しだけ休むくらいならいいだろう。
 微睡みに身を任せたリザは、気付いていなかった。
 バレンタインデーには、対であるホワイトデーが存在することに。
 来るべきその日には、俗に三倍以上が普通と言われるお返しが待っていることに。
 今日渡してしまった甘いプレゼントの三倍以上とは、どんなお返しなのか。
 リザがそれを知り、そして来年からは必ずチョコレートを用意しておかなければならないと決意するのは、ちょうど一ヶ月後の、ホワイトデー当日になるのだった。



終わったー!!
…はい。これだけです。
たったこれだけの内容にここまでかかってしまってホントすみませんorz
拍子抜けた方がいらっしゃらないように願うばかりです。

初めは、任務中にいきなり恋人モードでチョコの代わりにキスを奪うロイとかいいなぁ、と思って書き始めた話でした。
その時の予定では実戦中とか、模擬戦闘中とか、張り込み中とか、「そんなことやってる場合か!」という状況下でのロイの悪ふざけ(でも本人は真面目)にしようかと思っていたのですが。
ここまで甘い恋人同士の関係となると、うちの自己設定では最終回後ですし。
そうなると、ロイは准将以上になっているし。
准将になってると、実戦にそんなに頻繁に出ないんじゃないのかなぁ…とか(その辺詳しくないので、下手に書くと失敗するかなと)。
そもそも戦場でそんなことをするような場を弁えない性格じゃないんじゃないかなぁ、ロイは。とか。
そんなことを考えていたら、北方司令部での会議出張中、ということになりました。
こんなはずでは…いつものことか。
なんかもう、ワンパターンでお恥ずかしいです。

一ヶ月後、リザさんがどんなプレゼントを貰ったかはご想像にお任せします(笑)。
一応自分でも脳内でぼんやりとイメージしてますが、私の想像通りだとツイッターや日記には書けないかなー(笑)。

ということで、今年も甘甘バレンタインロイアイでした!(通常運転)
…完成したら推敲してサイトに載せようとしていたけど、あまりの甘さに載せるのが恥ずかしくなっている今。
甘い。甘すぎるぅぅぅ。ばったんばったん。

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氷上和奇

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