ちょっと季節は早いかもですが

お世話になっているフォロワーさんからお題を頂いたので、ちょこっとロイアイを書いてみました。
で、ツイッターで気軽に載せてしまえと思ったのですが、文字数が2000を超えたので、これはTLのお邪魔になるかなと判断して、途中で掲載を止めました。
それを続きも合わせて、ここにアップしておきます。
一発書きですが、宜しければ「続きを読む」からどうぞー。
因みに、まとめはまたこの日記に上がってくると思いますが、数箇所だけ修正しています。ちょっと気になったところだけですが。
内容はほぼ同じです。




※一発書きです。殆ど推敲していません。
※告白後前提ロイアイですが、ラブラブ度は多分低めです。いつものほのぼのな感じ。





「今日も冷えるな」
 書類から顔を上げて発せられたロイの台詞に、リザも書類から顔を上げて窓を見る。
「そうですね」
 外は既に真っ暗で、部屋の中にはロイとリザ以外の人影はない。
「今日も遅くなったな。帰りは冷えそうだ」
 独り言のようなロイの呟きを黙って聞いていたリザは、おもむろに自分の荷物から筒のようなものを取り出したかと思うと、それを持ったまま席を立った。
「少し失礼します。すぐ戻りますので」
「あ、ああ」
 突然の行動にその意図を理解出来ないロイは、ドアを出ていくリザの背中をぽかんと見送る。
「なんだ?」
 あの筒は何だろう。何故それを持って出ていったのだろう。
 小さな疑問は生じたが、あまりにも些細すぎる上に、個人的なことかもしれないと思うと、追求するのも気が引ける。
 ロイはドアから視線を外して、疑問から書類へと意識を切り替えた。

 それから少し経っただろうか。
 カチャリとドアの開く音がして、リザが姿を現した。
「ただいま戻りました」
「ああ……ん?」
 リザの方を見たロイは、その手元を注視する。
 そこには、先程の筒が乗ったトレイがあった。しかも筒だけではなく、ほかほかと湯気が立ち上っている白いマグカップが置かれている。
「よろしければこれをどうぞ。少しは温まるかと」
 リザはいつもの鉄面皮で、そのマグカップをロイの机の上に静かに置いた。
「……これは?」
「ジャガイモのポタージュです。昨日の残業の時に、温かいスープが飲みたいと仰っていましたので、持ってきてみました」
「覚えていたのか」
「昨日の今日ですので」
「それでわざわざ?」
「ちょうど昨夜作りましたので、ついでにと思い立ちまして」
 淡々と話すリザの顔と湯気を立てるマグカップを、丸い目をして何度か交互に見ていたロイは、やがてふっと顔を綻ばせた。
「じゃあ遠慮なく」
 本当に夕飯のついでだったのかどうか。
 リザのことだ。わざわざ自分の為に作ってくれた可能性も十分にある。
 これは冷めないうちに飲むのが礼儀だろう。
 ロイは迷うことなくマグカップを口に当てた。
「あっ、准将! 熱いので……」
「っつ!」
 リザの言葉が終わる前にスープを口に入れたロイは、慌てた様子でマグカップを机に置き、口を手で覆う。
「ひててて」
「まさか冷ましもせず飲むなんて……」
「ここまで熱いとは思わなかったんだよ。つー、舌がヒリヒリする」
「申し訳ありません。先に申し上げておくべきでした」
 すまなそうに項垂れるリザに、ロイは急いでフォローを入れる。
「君のせいじゃない。私の不注意さ」
 だがリザは視線を上げようとはしない。こんなことなら持ってくるんじゃなかった。そんな声まで聞こえてきそうだ。
 だがそれはロイの望むところではない。
「大尉」
 呼ばれて視線だけをロイへと向けるリザに、ロイは口を開けて自らの舌を指差した。
「あいにく鏡を持っていなくてね。どうなっているか見てくれないか」
 自分のせいだと思い込んでいるリザは、特に異を唱えることもなく素直にロイの口を覗き込む。
「もう少し舌を出してくだ……んッ!」
 途端、リザの口はロイによって塞がれる。
 さすがにその展開は予想していなかったらしく、油断していたリザの僅かに開いた隙間から、ロイは先程火傷したばかりの舌を差し入れた。
「ん……ふ……」
 机を挟んだ前屈みの状態でされるがままになっていたリザの呆気に取られた丸い目が、徐々に細められる。
 だがその目をすぐに見開き、キッと眉を吊り上げたリザは、手から一番近いロイの肩をドンと押し退けた。
「……っ……何をなさるんですか!」
「いや、火傷の消毒を」
「ご自分の口で消毒出来るでしょう、舌なんて」
 しれっと答えるロイを睨み上げたリザは、ぷいとそっぽを向いて自席へと戻る。だが微かに紅くなった頬では大した迫力はない。
 心配して損した、と言いたげなリザの背中に、ロイはそっと笑みを向けた。
 さて、そろそろ十分に冷めた頃だろう。
「……うん、美味しい」
 ロイの声に、自席に座ろうとしていたリザが逸らしていた視線を向ける。
 見ると、ロイがマグカップに再び口をつけていた。
「……火傷なさった舌で、味なんて判るんですか」
「判るさ」
 まだ機嫌の悪そうな顔をしているリザの方を見ることなく、ロイはマグカップに入った白いポタージュを見つめて穏やかに微笑む。
「……それに、とても温まる」
 その笑みに、リザは仏頂面を止めて表情を緩めた。
「……そうですか」
「さて、温まったところで、手早く残りを片付けるか」
「そうしていただけるとこちらも助かります」
「気合いも入ったことだしな」
「それでしたら持ってきた甲斐があります」
 一転して嬉しそうな顔を見せるリザに、ロイは黙って笑顔を返すと、書類へと手を掛けた。
(気合いが入ったのはポタージュのおかげだけではないんだが)
 しかしロイはそれを口にはしなかった。せっかく治まった不意打ちへの怒りを、また呼び起こす必要はない。
 机の上のマグカップからは、まだ微かに湯気が立ち上っている。
 ロイはそれを再び口に含むと、少しピリリと痛む舌を無視して、ほんのり甘く温かいポタージュと、先程触れた柔らかい熱の記憶を、体内へと流し込んだ。


お題は「りざさんの作ったジャガイモのポタージュが熱くてロイのお口がやけどをしてりざさんあたふたする」でした。
あんまりあたふたしてないね、御免(苦笑)。
どちらかというと冬向けかもしれませんね。
今日はまだ30度あります…よ…。気温の変化激しすぎ。

自分の書いていた文章をまだ見失い気味というか…いつも通りですかね…?
でも書かないより書いていた方が感覚が戻ると思うので。
こうしてちょっとしたSSを書かせて頂けるのは本当に有り難いです。
原稿の方もホント頑張らなくては。

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氷上和奇

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